金八先生の隣のクラス

今どき
進学情報

引率〜生徒をよく知るチャンス〜


引率の「率」とは兵隊のことだそうだ。「引率」とは、元来戦場に向かうときに武将が兵隊たちを引き連れ移動することを表していた。戦国時代の兵隊を「足軽」と呼んでいたらしいが、落語の枕に「足軽がるがる、鉄砲持たせりゃ重たがる、弁当持たせりゃ食いたがる」といった話がよく出てくる。

教師になって校外学習に生徒を引率してみて、生徒には悪いが、しみじみ足軽たちを率いて戦場に乗り込む武将の気持ちがわかった。この連中はまさに足軽だと実感した。とにかくうるさくて身勝手で要求も質問も多い。教師という職業の本質が皮肉なことに学校の外に出てみて初めて実感できたような気がした。

学生の時に、都内の公立中学校で教育実習をした。私の指導教官をしてくださったM先生はたいへん立派な人であった。M先生は誠実で、これといって際立ったことはしないが普通に振舞っているような中に生徒への行き届いた配慮が感じられた。私はM先生に会っていなければ教師にはなっていなかったと思う。
この先生から、「キミね、最初に近づいて来る生徒と、校外学習で引率中に腹痛などトラブルを起こす生徒は要注意だからね」と教えられた。とっさに自分の子どもの頃を思い返して前者にやや当てはまるのではないかとぞっとした。教師になって本当にM先生の言葉通りだということを実感することがたびたびあった。

思慮深い生徒はこちらの人間性のあらましがつかめてから近づいてきた。初対面なのにホイホイ寄ってくるような生徒は確かに問題があった。引率中にトラブルを起こす生徒は、昔に多かったことで、日頃はいつもお腹を空かしている貧しい家庭の子が、遠足なので特別にオヤツをたくさん買ってもらい、嬉しくなって食べ過ぎてお腹をこわすことが多かったらしい。実に哀しい話である。その他の要因でトラブルを起こす生徒は今も昔も変わらない。

校外学習の引率は面倒ではあるが、日頃教室では分からなかったさまざまな生徒の隠れている面も見られて得ることも多い。逆に生徒にとっても個々の教師の人間性を見極める絶好のチャンスにもなる。

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